Short Story…





Short Story No 11
モモ



午前7時3分

目が覚めた。天気は快晴。
僕は、朝食を食べるためにゆっくりとキッチンへ向かう。
ご飯の炊ける匂いと蒸気が、僕の食欲を掻き立てる。
今日の朝食は何にしようか?
冷蔵庫をあけ、朝食の材料を確認する。
玉子、レタス、キャベツ、ウインナー、他にも色々ある。
ある程度の食材は揃っている。
これなら何でも作れそうだ。

今日はベーコンエッグと、サラダとスープでも作るか。
僕は、フライパンを手にし、手際よく料理を作り始めた。
油をひき、ベーコンを焼き、玉子を落とす。
フライパンに蓋をすると、キャベツを切ると
鍋でお湯を沸かし、人参とキャベツとベーコン、そしてコンソメを入れた。
朝食を作り終え、僕は、自分の食器に料理を並べると、
それらをゆっくり食べ始めた。

食事が終わり、食器乾燥機の中に食器を入れる。
戸棚から、ドックフードを取り出し、階段を下り、ペットのモモの所へ向かう。
モモは、雨の日に拾ってきた。
最初のうちは、僕になつかず、反抗し、餌も食べなかったモモも、
今では涎を垂らし、餌を待ち焦がれるようになった。


檻の中で、モモは眠っていた。
起こして、相手をしてあげたいが、今は時間がない。
僕は、急いで檻の中にある食器の中に、ドライフードの小さな粒を注ぐ。
ステンレス製の食器がカラカラと音を立てた。

僕は、階段を上がり、会社に行くために、服を着替え、玄関に向かう。

「行ってきます」

靴を履いて、玄関をでる。ぐずぐずしてはいられない。
この家から僕の勤めている会社まで、車で2時間かかる。
それでなくとも、この辺は田舎で、近所で一番近くの家に行くにも歩いて10分以上はかかる。
それぐらい田舎だ。
でも、それがいいところでもあるのだけど。

車の中で考える。

モモの本名って何だった?
モモコだけは、覚えてるのに、苗字だけが思い出せない。




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