Short Story…





Short Story No 16
ヒット



そのゲームは、ヒットって名前。
とても、スリルがあって、怖いけど、中毒性を含んだドキドキするゲームだ。
仲間四人で集まって、月に一度か二度、そのヒットをやってた。

ゲームといっても、別にオンラインやコンシューマーじゃない。
もっともっとアナログなヤツ。
的に物をぶつけるだけの、簡単に言うとダーツみたいな感じ。
当たった時の爽快感は病み付きだ。


このゲームには、僕たちを虜にした理由と、ルールがある。


今でも流行ってるカード。
そのカードを賭けてゲームをするんだ。

賭けるカードはもちろんクズカードじゃダメ。
スーパーレア程度でもダメ。。
ウルトラレアか、プレミアムレア以上のカードじゃないと
このゲームの賭けの対象にはならない。

さらに厳密に説明すると、このゲームには親がいて、
仮に親がウルトラレアを出した場合、
全員が、ウルトラレアを出さないといけない仕組みになってる。
親がもし、アルテミットレアなんて超レアな奴を出せば、嫌でも賭けなきゃいけないんだ。

だから盛り上がった。
みんな必死だったからね。

何百枚もカードを買って、それでもごく稀にしか入ってないカードだから
当然と言えば、当然なんだけど。

場所は、もちろんマンションの屋上。
見つかったら嫌だから、オートロックのマンションはダメ。
監視カメラとかも付いてないような所。
だから、エレベータとかも使えなくて、階段で上ることが多かったかな。

投げるのは、石を使う。
大きさなんて決まってないから、だから四人とも、こぞって大きい石を取り合ってた。
でも、あまり大きすぎると、逆に不利だから、
ちょうどランドセルに入るくらいの大きさの石がベストだった。

点数はポイント制。

当たれば一点
倒れたら二点
壊れたら三点

でも、当たること自体、滅多に無いから、引き分けが多かった。
屋上から、動いてる通行人を狙うんだから、仕方がないことなんだけどさ。
でも、当たった時の爽快感は、言葉にできないくらい気持ちがいいものだったよ。




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