Short Story…





Short Story No 27
ダイエット



綺麗な女になりたい。
魅力的で、誰が見ても美しいと言われるほどの美貌を手に入れたい。
そう思ってから、ずっと努力をしてきた。

素材はいい。
ずっと、そう思っていた。
ただ、惰性で物を食べ、運動もしない、不規則な日々のせいで
体重は増えて、気がつけば100kgを超えた。
病院にいけば、医者に注意され、周りからは、聞こえない声で嘲笑された。
そんな日々に愛想が尽きた。

この姿を作ったのは私だ。
だったら、新しい姿を作れるのも私しかいない。

ファッション誌のモデル達の姿をを眺め、
目標とするモデルの写真を切り抜き、この娘みたいになるんだと、そう決意した。

ダイエットを重ね、リバウンドを繰り返し、過食、拒食を繰り返した。
体重や体脂肪の数値を見るたびに一喜一憂し、
食事制限をし、食事しない時も多かった。
色々なダイエット方法を試した。

何度も失敗し、何度も嘔吐し、通販で変な薬に手を出し、
病院に担ぎ込まれたこともあった。
それでも、諦めなかった。

退院した後は、自分に合ったダイエット方を見つけるのに四苦八苦した。
それは、地味な運動であったり、簡単な食事制限だったり、科学的なものまで。
急激に体重を落とすのは止め、少しずつ痩せるように努力した。
運動だけじゃなく、ヒアルロン酸やホルモン注射もして、エステにも通った。
その成果は私の体に、少しずつ表れてきた。

2年かかった。

今の私の体重は、ようやく40kgまで減った。
理想体重だといえる。
ファッション誌のモデルは、アイドルデビューし、
テレビのバラエティ番組でよく見かけるようになった。
私も、この2年で仕事を変えた。

あの頃の私はもういない。
それが嬉しくもあり、少しだけ寂しくもある。
私は、今、鏡の前にいる。

鏡を見る時間は増えた。いつだって見ていたい。
大きな鏡も買った。
全身を見るために必要だから。

引き締まったフェイスラインや、くびれた腰は気に入っている。
胸も少し大きくなったし、二の腕のたるみとお腹の脂肪も無くなった。

昔の友達に会うと、みんな驚いてくれる。
まるで、女みたいじゃないかって。




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