Short Story…





Short Story No 31
誤字



田中 四郎様
元気?この間はありがとう。
最近、ろくに話もできないから不安だろうと思って、この手紙を書きました。
風邪移さちゃって、それが悪化して、今、中央病院に入院してるんだ↓
病院でレントゲン撮ったら肺炎で危なかったらしいの。
病院のルールで携帯は禁止だし、安静にしなくちゃいけないから
じっとただ、ベットでテレビとか見てるよ。
ホントすぐにでも、退院して会いたいけど、ずっと先になりそう。
退屈だけど、今はほとんど動けない状態だし、しょうがないよね。
ただ、テレビも面白くないし、暇で死んじゃうかも。わかってくれるよね?


家に帰ると、この手紙が郵便受けに挟まっていた。
あて名は彼女からだ。

彼女とは、ここ最近というか、ここ何週間か会っていない。
会おうにも会えないのだから仕方がなかった。
電話は止められており、家に行っても誰もいない。
仕事もずっと休んでいると、聞いた。
もしかして何か事件にでも巻き込まれたのかと、不安に思っていたが、
この手紙が送られてきたことで、少しだけ安堵することができた。

それにしても変な手紙だ。
よく見れば、字は擦れ、紙は皺が目立つ。
紙の端は、泥か何かで汚れ、俺の名前も間違ってる。
俺の名前は、二郎なのにさ。






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