Short Story…





Short Story No 40
手口



ここは、どこにでもある大手のファミレスの店内。
今、俺の隣のテーブルで、馬鹿が勧誘をやってる。

商品は知らない。偶然耳に入った感じだと、多分化粧品か、
健康食品の皮を被ったネットワークビジネスの類だろう。

女一人、男二人のチームで、いかにも垢抜けてない男がターゲット。
最初は、女と男の二人だったから、女がターゲットを誘ったんだろう。
で、後で、当たり前のように、男二人が同席する。
典型的。

マニュアル通りの会話術で、型にはめようと必死だ。

「成功者」「年収アップ」「儲かる」「サイドビジネス」

メリハリのある甲高い声が鼻につく。
そいつ顔といったら、冷静さを装いってるくせに必死すぎて笑える。
唇は乾いているが、悪びれた様子はない。

騙す奴も馬鹿、騙される奴も馬鹿。
馬鹿が、もっと馬鹿な奴をを騙し、金を得ようとする。
一番手っ取り早い儲けのカラクリ。

法の網を巧みに掻い潜り、人を騙す。
別に俺や、俺の知り合いに何か売ったり、誘ったりしない限り、
別に何の文句もない。

ただ、うるさいのは、嫌いだ。
だから、黙れよ。

うるさい奴や、言葉のイントネーションがおかしい奴。
それに、意見を言ってるのか質問してるのか、わからないような喋り方は嫌いだ。
あと、カ行の発音がきちんとできない奴も。

そいつらは、ずっと喋り続け、相手に意見を言わせない。
意見が出ても、納得したフリをし、またもとの話題に戻す。

その垢抜けてない奴に、お前らのその手口、全部ばらしてやろうか。
お前らの手口なんて簡単だし、馬鹿でもできる。
それに俺は、同業者だからな。




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