Short Story…





Short Story No 77
自炊



自分で米を炊いた。随分久しぶりに。

いつ以来だろう?
もう二年振りくらいだろうか?
殆ど、誰かに作ってもらったり、外食や、店屋物だったり、
買ってきた弁当や、ジャンクフードで間に合わせてた。

最近は、それすらも面倒で、いつもスナック菓子ばかりだった。
スナック菓子は色々な種類があるから、悩むことなんて無い。
だけど、栄養は偏るし、具合は更に悪くなるばかりだ。
で、思い立って自炊してみるかと思ったわけ。

冷蔵庫を開けてみる。
ろくなものが無い。当然だ。買ってないんだから。
母さんが生前買ったものが残ってるだけ。
それでもまぁ、何かあるだろうと色々調べた結果、
結構、色々な食材が見つかった。

芽が伸び邦題の、柔いじゃが芋、
しなびて黒くなった人参とピーマン、
芽が伸び、変な臭いのする玉ねぎ、
変な汁の出てるレタスと白菜、
腐りきって、茶色に変色した牛肉、
賞味期限が切れた玉子。
シチューやカレーのルー、
冷凍のピラフ。

まぁ、ほとんどのものは、煮れば食べれないこともないだろう。
幸い、カレーのルーがある。
メニューが決まった。

まぁ、カレーなんて馬鹿でも作れる。
俺も、その例外じゃない。
まず、適当に野菜の皮を剥いた。
炒めるのは面倒だから、そのまま鍋に入れる。
10分くらい煮て、肉を入れ、ルーも全部を入れる。
一人分だから鍋は小さいし、すぐにルーも混ざる。


いい匂いがしてきた。


そのまま強火でしばらく煮た。味見はしない。
適当に混ぜるだけだ。
しばらくすると、焦げた臭いがし始めたからガスの火を止める。
混ぜ方が悪かったせいだろうか?

ご飯はとっくに炊けてた。
水加減が悪かったのか、少しべチャベチャしてまるでお粥みたいだ。
とりあえず皿を出し、その上にご飯を、カレーを注いだ。
食べやすいように最初から混ぜるのが俺の好み。
ついでに生卵もかけてみた。
見た目は割と上等だ。

幸い、ご飯はベチャベチャだから、
歯がほとんど無い爺ちゃんでも、食べれるだろう。
スナック菓子は、さすがに食べにくそうだったから。



back