Short Story…





Short Story No 91
早すぎる死



彼は、自殺した。早すぎる死だった。

方法は、首吊り。
ドアノブにシャツを括りつけ、その中に首を通し、
倒れこむように、死んだ。
彼の手のすぐ下には一通の遺書。
直前まで握り締めていただろうことは、容易に想像できる。
その遺書は、達筆だが、力なく、シャープペンで書かれていた。


もう、生きるのに疲れました。

毎日毎日、同じ日々のくり返しで嫌になる。
毎日毎日、誰かに頭を下げて、聞いてるフリして、
適当に笑顔を浮かべて、相槌をうって、
家に帰って、おいしくもない料理を食べて、
電車を乗り継いで、塾に行って、家に帰って宿題。
こんな人生に何の意味があるんだろう。
僕は、あると思わない。

人はいつか、死ぬ。
そう、死ぬんだ。
生きたってバカみたい。
僕がどんなに努力してもきっと、誰かに利用されておわり。
もう人生なんて決まってる。
生まれた時点で、きっと決まってるって、昨日、わかった。

くだらない。
みんなみんなくだらない。
ゲームも、TVも、友達も、彼女も、
みんなみんなくだらない。

もう、おわり。
全部おわり。

つまらないので死にます。
さようなら。


彼は、まだ8歳。早すぎる死だった。



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