Short Story…





Short Story No 101
人間の尊厳



風邪を、ひいた。
いや、もしかしたら風邪じゃないのかもしれない。

熱っぽく、体がだるい。
それだけじゃない。鈍い頭痛に、体に重さも感じる。
吐き気もすれば、目に強い痛みを感じ、目がかすむ。
昔かかった、インフルエンザよりも苦しい気がする。

一瞬の眩暈。

フラフラになりながらも、冷蔵庫からペットボトルをだし、
口をつけて、飲んだ。
床に座り込み、息を整え、額に手を置く。
かなりの熱だ。体温計で計る必要もないくらいに熱い。

救急車を呼ぼうかとも考えたが、
起き上がり、歩くことくらいはできそうだ。
家を出たら、タクシーにのれば何とかなるだろう。

かかりつけの病院に行こうとしたが、
今の時間を考えれば、もう閉まっているのはわかる。
あそこの病院は、夜間や祝日は営業していない。

僕は携帯でウェブに接続し、付近で、
夜間も営業している病院を検索する。
なかなか検索はヒットせず、検索内容を変え、
何度も調べた。

結局、今の時間も営業している病院は、自分ではわからず、
救急医療情報センターに連絡し、情報を聞いた。
お礼を言い、番号をメモし、電話を切る。

そして、教えてもらった病院に連絡し、予約する。
場所は、随分と遠い。
電車で4駅先の地域だ。

腹が立った。
こんなに苦しいのに、どうして病院はそんなに遠いのかと。
夜間も営業してる動物病院なら、近くに、いくつもあるのに。



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