Short Story…





Short Story No 104
幸せな人



「あなたは、幸せですか?」

そう尋ねられ、何の躊躇もなく、自分が幸せだといえる人間は、
一体、どれくらいいるんだろう?

さぁ、どっちだろう?
幸せ?不幸せ?普通?それとも不幸?
多分、ほとんどの誰かは、少し考え、普通だと答えるんじゃないかな?
そして、残りの誰かは、幸せか、不幸かって答える。
不幸せって答えは多分、少ない。
そんなこと考えもしないから。

平凡、普通。
何も悪くない。

普通だと言える状態は、きっとすばらしい。
だけど、幸せは、もっとすばらしい。

幸せは、主観だ。

誰かが、自分を見て不幸そうだなと感じたとしても、
自分が幸せなら、そう思えるなら、幸せなんだろう。
逆を言えば、どれだけ恵まれているように見える誰かも、
自分を不幸だと思っているなら、きっと不幸じゃないにしろ、
幸せじゃ、ない。

今まで、数多くの嫌な出来事があった。
忘れたくても、忘れられない苦汁も、
口には出せないほどの屈辱も味わった。
失ったものも多く、そして、大きかった。
地位も、名誉も、尊厳も、失った。
残ったのは借金だけ。
惨めだった。本当に、惨めだった。

でも、それはもう、過去の話。
今、俺は、幸せ。
太陽は美しく昇り、心に巣食った、暗闇を照らしてくれる。
世界は、そう、希望に満ち溢れてる。


そうでも思わないと、もう、生きていけない。



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