Short Story…





Short Story No 111
小さな女の子



その子は、小さな街に住む、小さな女の子。
歳は、九つになったばかり。
さらさらと風になびく髪は栗色で、長さは肩の少し上くらい。
端正な顔つきで、年齢よりも大人びて見える。

彼女の好きな食べ物は、チョコレート。
食べる時は、とても嬉しそうな顔をする。
母親が好きで、父親はあまり好きではない。

よく見る映画はディズニー。
昔は、お姫様に憧れていた。
夜を怖がり、いつもディズニーのキャラクター抱き枕と一緒に眠る。

物静かでまじめな方だが、
精神的にまだ、安定している方ではなく、
よく誰彼に当り散らし、そして落ち込む。

細い腕。その腕は傷だらけ。
切ったり掻きむしったりを繰り返し、全て自分で作った傷。
真新しい傷も、痛々しく存在している。

少し前から、食べる回数が減り、食べても嘔吐するようになった。
その体は細く、うっすらとアバラが浮き出ている。
それとは対照的に腹は大きく膨らみ、その中には胎児が眠っている。

その胎児は、女の子。
彼女と同じ、とても小さな女の子。



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