Short Story…





Short Story No 133
新しい出会い



別に、皆が言うほど悪いものじゃない。
事件のたびにマスコミで取り上げられ、叩かれるけれど、
この新しい出会いを享受できるのは、僕らの世代の特権だろう。

BBSやチャットだ、メル友や出会い系だ、
流行のSNSだって、そう。
方法や呼び名、システムや意義が変わったって、
誰かに会いたい。友達や仲間、恋人が欲しいって目的は変わらない。
自分を知って欲しいって目的は変わらない。
誰だって孤独を癒したい。

新しく友達を作るのは難しい。

話すのが苦手で、人見知り。
サークルや団体での人間関係が苦手。
見合いや、ナンパなんて恥ずかしい。
妙な奴や、頭のおかしい奴に会いたくない。
誰だって面倒なことは嫌い。

さらに言えば、時間もお金もかけずにすみ、
簡単ならそれでいい。
理想の相手や友達を、手間暇なしのローリスクで見つけたい。
今じゃ、同じ趣味の相手だって簡単に見つけられる。
昔と違った合理的なサービス。

愛想や話術やコツなんて簡単。
基本的には褒めること。

互いが互いを気に入れば、
都合よく、誰とでも話せ、誰とだって会える。
効率的で、素敵なサービス。

でもそのサービスは、当然、悪意を持つ誰かも利用する。
詐欺、勧誘、援助、なんて甘い方。
そんな隠れた悪意に騙される誰かも、大勢。
皆、簡単に騙される。
僕が昨日会った、あの子みたいに。

僕は、多くの誰かと友達になれる。
そして僕らは、誰にでもなれる。



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