Short Story…





Short Story No 143
頭が悪い奴



頭が悪い奴を見ると安心する。

自分よりも程度が低い奴だと知ると嬉しくなる。
安い知識を振り回して、誰かの受け売りを得意げに話してる奴や、
つまらないものに夢中になって周りが見えてない奴や、
真意もわかず、くだらない流行に乗せられ、情報に騙されてる奴や、
おもしろいとも思えない番組を見て笑ってる奴や、
詐欺紛いの偽善的な言葉で感動したって泣いてる奴とかさ。

探せばいくらでもいる。
探さなくても、いくらでもいる。

もしかしたらそいつは、
頭が悪い奴を演じてるだけかもしれないけどさ。

下を見て暮らせじゃないけれど、
下を見れば自分が上だと感じられる。
上に登る方法がわからないから、笑顔で待ち伏せし、
上に登ってこようとする奴を蹴落とし、ただ笑う。

理想の友達は、自分と同じくらいのレベルで、
自分より何かが劣っている相手。
自分が少しだけ偉そうに講釈ができる相手。
自分が優越感を抱ける相手。

自分もそう思われてないか心配だよ。
あぁ、あの頭が悪い奴だろってさ。



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