Short Story…





Short Story No 146
遠距離恋愛



入っていた。いつものように。

エレベーターの前にある郵便受け。
俺は、コンビニで買い物を済ませた帰り。
エレベーターの表示が9階になってるのにうんざりしながら、
呼び出しボタンを押しエレベータが1階来るの待つ。
その間、郵便受けから少しはみ出してるその封筒を取る。
はみ出しているから、わざわざ鍵を開ける必要もない。
封筒はいつも同じ柄、キャラクターがプリントされたカラフルな封筒。
中は見てないが、便箋もきっといつもと同じ柄だろう。
俺はそれをバックの中に。

すぐにエレベータが到着し、俺は6階のボタンを押す。
エレベータはすぐに目的の階に到着。
ポケットから鍵を取り出し、部屋に入る。

バックから封筒を取り出し、机の上に置く。
几帳面な俺は、ゆっくり糊付けされた部分を剥がし、
便箋を取り出す。
いつもと同じ柄の便箋、そして、いつもの香り。

これはラブレター。
Eメール全盛の時代にそぐわないものかもしれないが、
Eメールより気持ちが伝わるような気がする。
内容は毎回、あまり変わりがないけれど。

親愛なるから始まる手紙。
遠距離恋愛をしてるから、どうしても心配になるの。
次は、いつ会える?いつこっちに来てくれる?
可愛らしい文字に託された想い。

手紙を読み返す。
読み返すたびに心が締め付けられる。
俺だって、会いたいと思う。
だけど、今はまだ無理。
俺は、自然とため息。
長い長いため息。

最後にその手紙を読み返す。
読み終わった便箋を封筒の中に入れ、
テープのりで封を閉じ、部屋を出る。
今度は階段を使い1階まで降りると誰もいないのを確認し、
元の郵便受けに封筒を入れた。
いつものように。



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