Short Story…





Short Story No 152
笑窪



笑顔はいろいろなものを隠してくれる。

それは嘘であったり、嫉妬だったり、妬みだったり。
また、不満であったり、不快感であったり、欲望だったり。
勘が鋭ければわかるのかもしれない。
人に対する嗅覚ってものがあったとして、
それを感じとる能力に長けてるならわかるかもしれない。
だけど、表面に気を取られてる限りわからない。

かわいい瞳。笑うと黒目で覆われる瞳。
目じりに刻まれた皺。
口元の皺、笑窪。

この子はどうして笑顔なんだろう?
どんなことで、どんな話題で笑ってきたんだろう?
この子の本音を、誰がどのくらい知ってるのだろう?

素直に笑ってるのか、何かを隠すために笑うのか。
ただの愛想なのか、自己欺瞞なのか。
それとも素直に、ただ、楽しくて笑っているんだろうか?

その子が話す体験談を聞いて僕は笑う。
面白いから?
いいや、やっぱり別の理由で。



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