Short Story…




Short Story No 169
友達の子供



友達の子供に会いに行った。
家の外からでも聞こえる赤ん坊の泣き声。
ミルクが欲しいのか、それともオムツでも汚したか。
インターフォンを押す。
笑顔で出迎えてくれる友達。
嬉しそうに子供を抱きかかえたまま。

初めて授かった子供。
しかも女の子ということもあり、本当に嬉しそうだ。

「目元がさー、子供の頃の俺にそっくりなんだよ」
「ほんと似てるよねーそっくりじゃない」
二人はそう言っで微笑む。

「えー、全然似てないって、奥さんの方に似てるよ」
「そうか?いや、ほら見ろよこの顔。かわいいだろ」
「かわいいねー、でも、お前に似てるんなら将来が少し心配だな」
幸せそうな二人に対し、僕は軽く冗談めかした毒を。

親バカというかなんというか。
僕も子供の頃もこうしてかわいがられたのかな?
両親も、招いた誰かや僕の誕生を祝い来てくれた誰かに対し、
僕を自慢したんだろうか?

出産祝いを渡し、しばらく話し込み、
それじゃ、またと僕は帰る。

友達の子供はかわいかった。
友達に似て。
紙オムツのCMに出てもおかしくないくらい。

ちなみに友達は知らないだけで、あの子は、
奥さんと、僕の別の友達の子供だ。



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