Short Story…




Short Story No 170
正体



「ちょっと待って!今、何かいたよ」
「え、どこ?」
「ほら、あそこのガードレールのとこ」
「え、見えないよ。見間違えじゃない?」
「ううん、絶対いた。多分、人だったと思う」
「気のせいじゃないの?」
「気のせいじゃないよ。車止めて引き返そうよ。助けてあげないと」
「えぇ、多分気のせいだって」
「でも、倒れてたよ?」
「うつぶせに?それとも仰向け?」
「わかんないよ。一瞬だったもん」
「今日初めて会った君にこんなこと言うのもあれなんだけど、
君、変わってるねって言われない?」
「言われたことないし、絶対見たんだよ。本当なのに」
「でも、もう通り過ぎたし。それに次に通った人が見つけるよ、きっと」
「でも、この道全然車通ってないよ?」
「大丈夫だって」
「そうかなぁ?」
「暗いし、この辺、山だしさ、木を人だと見間違えたんだって」
「あ!」
「どうかした?」
「もしかして。」
「もしかして何だよ?」
「あれって、幽霊だったのかな?」
「いやいや、幽霊じゃないだろ」
「どうして?」
「あいつはまだ死んでないはずだから」



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