Short Story…




Short Story No 194
勘違い



ピアスが落ちていた。

付き合っている男の部屋。
女は、それが自分の物でないことに気付く。
勘のいいその女は、この部屋に自分以外の誰かが
出入りしているのだと推理する。

チープな女物のピアス。
年下の女?

気が付かないふりをしようかとも考えたが無理だった。
女は、そのピアスを男に突きつけて、真偽を男に問う。

女の質問に対し、
男は強く否定するわけでも肯定もするわけでもない。
ただ、首を傾げるだけ。

ハッキリしない態度、口調。
嘘をついているような、何か隠しているような、そんな態度。
いつも男は、自分からはほとんど主張しない。
単に、主張できないだけなのかもしれない。

そんな煮え切らない態度の男に苛立ち、
怒りと不満をぶつけ、女は部屋を出る。
怒りが収まらない女は部屋を出る前に、投げつける。
男がわざと置いておいたそのピアスを、床に投げつける。



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