Short Story…




Short Story No 196
素晴らしい世界



世界は希望に溢れてる。
この雲ひとつない澄んだ青空も、
新芽が顔をだしてきたこの桜も、
この公園で無邪気に遊ぶ子供も、
バトミントンをしている恋人達も、
皆、美しい。

暖かな陽射しに、この季節特有の強くも心地良い風。

すばらしい。
全てがすばらしい。

呼吸するということ。
血が巡るということ。
心臓が動くということこと。
今、生きているということ。

それらは当たり前のようで当たり前じゃない。
生きることが、生きていることがすばらしい。
少し前には気がつかなかった。
どうして気が付かなかったんだろう。
こんな気持ちがずっと続けばいいのに。

だけど、この素晴らしい気持ちが長く続くことはない。
少しずつ少しずつ、陰鬱で、暗い気持ちになっていく。

駄目だなぁ。
そろそろ薬が切れてきたみたいだ。



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