Short Story…




Short Story No 269
140



少し前、偶然あいつに遭う機会が増えた時期があった。
同じ電車だったり、飲食店だったり、色々な場所で。
住んでる所が近いらしいからだとしても、
なにか変だなと思ってた。

「偶然だね、何してるの?」

最初のうちは仕方ないと思ってたけど、
会う度に声をかけられて、つまらない話されて、
食事に誘われたりなんてことが頻繁に続いてて、
憂鬱な気分だった。

そりゃ話しかけられたら笑顔を作って話すけど、
正直もう好きじゃないし、会いたくもない。
死ねばいいのに。

そんなことを短く呟いて以来、
あいつと偶然遭うことがなくなった。
多分偶然じゃなかったんだろう。






back